「AIサーバーでデータセンター運用、やってみないか?」
これは、ボスから新しい挑戦の機会をもらったマネージャーと、頼れるインドネシア人エンジニアの奮闘記である——
第1章:新しい挑戦 🌴
ある月曜日の朝のこと
ボス: 「ちょっといい?相談したいことがあるんだ」
僕: 「はい、なんでしょう?」
ボス: 「AIサーバーを立てたいと思っててね」
僕: 「ほうほう、クラウドで構築ですか?AWSかGCPか…」
ボス: 「いや、ハードから構築したい。で、データセンターに置きたい」
僕: 「ハード…ですか」
ボス: 「クラウドもいいんだけど、自分たちでインフラを持つ経験って、チームにとって大きな財産になると思うんだよね」
僕: 「たしかに…」
ボス: 「もちろん簡単じゃないのはわかってる。どうかな?」
正直、最初は驚いた。物理サーバーの構築なんてやったことがない。
でも、ボスの言葉には納得感があった。
クラウドサービスは便利だ。でも、自分たちでインフラを構築する経験は、エンジニアとしての引き出しを確実に増やしてくれる。
僕: 「やってみます」
ボス: 「ありがとう。困ったことがあったらいつでも相談して。全力でサポートするから」
こうして、僕の新しい挑戦が始まった。

心強い言葉
デスクに戻りながら、ボスの言葉を思い返していた。
「チームにとって大きな財産になる」
この言葉が、不安だった気持ちを前向きに変えてくれた。
そして、ふと思い出した。
僕: 「そうだ、Eさんがいるじゃないか」

救世主、現る
Eさんは、MKDT Dmake Indonesiaのエンジニアだ。
インフラエンジニア歴9年のベテランで、ジャカルタのIT業界を知り尽くしている。
さっそく相談してみた。
僕: 「Eさん、ちょっと相談が…」
Eさん: 「どうしました?」
僕: 「AIサーバーを構築して、データセンターに置くプロジェクトを任されたんだけど…」
Eさん: 「お、面白そうですね!」
僕: 「え、面白い?大変じゃない?」
Eさん: 「大変ですけど、やりがいありますよ。インドネシア、今すごく熱いですから」
僕: 「熱い(物理)?それは赤道直下だし…」
Eさん: 「それもありますけど(笑)、市場が熱いんです」

インドネシア、熱いらしい
Eさんによると、インドネシアのデータセンター市場は急成長中らしい。
Eさん: 「政府もデジタル化に力を入れてますし、海外からの投資もすごいです。NVIDIAのCEOも去年インドネシアに来てましたよ」
僕: 「え、ジェンスン・ファン?」
Eさん: 「はい、Indonesia AI Dayっていうイベントで」
なるほど。ボスはこういう流れを見据えて、このプロジェクトを立ち上げたのかもしれない。
僕: 「じゃあEさん、このプロジェクト…」
Eさん: 「やりましょう!調達とか、データセンターとの交渉とか、僕がやりますよ」
僕: 「ありがとう…!」
こうして、9年の経験を持つ最強の助っ人を得た僕のプロジェクトが本格的に動き出した。

第2章:パーツ調達という名の戦い 🛒
GPUが手に入らない
AIサーバーを作るにあたり、まず必要なのはGPUだ。
これがなければ始まらない。
僕がネットで価格を調べて青ざめていると、Eさんがやってきた。
Eさん: 「どうしました?顔色悪いですよ」
僕: 「GPU、高すぎない…?しかも在庫がほとんどない」
Eさん: 「ああ、今は世界中で取り合いですからね。AIブームで需要が爆発してるんです」
僕: 「見つけたと思ったら、次の瞬間には売り切れてるし…」
Eさん: 「そうなんですよ。在庫があっても、すぐに無くなってしまうんです。みんな狙ってますから」

TokopediaとShopeeの海を泳ぐ
インドネシアでパーツを探すとなると、まず頼りになるのがオンラインマーケットプレイスだ。
TokopediaやShopeeで検索すると、確かにいろいろ出てくる。
僕: 「お、これ安い!…いや、安すぎない?」
Eさん: 「ちょっと待ってください。それ、怪しいですね」
僕: 「え?」
Eさん: 「正直に言うと、この手のマーケットプレイスでは詐欺も普通に横行してるんです。相場より極端に安い場合は要注意ですよ」
僕: 「マジか…」
Eさん曰く、まず大事なのは「適正価格を把握すること」だという。
Eさん: 「相場を知らないと、高すぎるのか安すぎるのか判断できないでしょう?安すぎる場合は偽物や詐欺の可能性が高い。逆に、高すぎるのはただのぼったくりです」
僕: 「なるほど…」

店舗にチャットで確認する日々
適正価格がわかっても、次は「この店舗は信頼できるか」を見極めなければならない。
Eさん: 「評価やレビューも参考にはなりますけど、それだけじゃ足りないんですよ。実際にチャットで確認を取るのが一番です」
こうして、「店舗への個別チャット確認作業」が始まった。
僕: 「この商品、本物ですか?正規品ですか?」
店舗A: 「もちろん本物です!」
僕: 「保証書はありますか?」
店舗A: 「…」
(既読スルー)
Eさん: 「この店舗、在庫ありますか?」
店舗B: 「ありますよ!」
Eさん: 「写真送ってもらえますか?実物の」
店舗B: 「ちょっと待ってください」
(3日後)
店舗B: 「すみません、さっき売れました」

難航する調達
それからの数週間、調達は難航を極めた。
オンラインで在庫を見つけて「よし!」と思った次の瞬間、ページをリロードしたら「Sold Out」の文字。
僕: 「また消えた…」
別のショップで在庫ありの表示を見つけて問い合わせると、「さきほど売れました」との返答。
僕: 「これ、どうすればいいの…」
正直、心が折れそうになった。

Eさんの人脈
そんな僕を見て、Eさんが言った。
Eさん: 「僕の友人たちに当たってみましょうか」
僕: 「友人?」
Eさん: 「9年この業界にいると、正規代理店やショップに勤めてる友人が何人もいるんです。彼らにサポートしてもらいましょう」
僕: 「そんなネットワークが…!」
Eさん: 「入荷情報とか、一般に出回る前に教えてもらえることもあります。ちょっと連絡してみますね」
Eさんはスマホを取り出し、何人かに連絡を取り始めた。

それでも簡単ではない
数日後、Eさんから報告があった。
Eさん: 「友人たちに聞いてみました。来週、ある代理店に入荷があるそうです」
僕: 「本当!?」
Eさん: 「ただ、数に限りがあるので確約はできないと。在庫があっても、すぐに無くなってしまうので、スピード勝負ですね」
僕: 「なるほど…」
Eさんの人脈のおかげで、ようやく調達の道筋が見えてきた。
とはいえ、油断はできない。在庫が確保できるまで、気が抜けない日々が続く。

熱との戦い
パーツ選定を進める中で、「冷却」も大きな課題だとわかってきた。
Eさん: 「AIサーバーはとにかく熱出しますからね。インドネシアは暑いし、冷却は本当に大事です」
僕: 「エアコンじゃダメ?」
Eさん: 「普通のサーバーならいいですけど、AIサーバーは液冷じゃないと厳しいかもしれません」
僕: 「液冷…」
Eさん: 「特殊な冷却液を循環させて冷やすんです。最近のハイエンド機はだいたいこれですね」
僕: 「それも調達大変そう…」
Eさん: 「大丈夫です、友人に冷却機器に詳しい人もいますから。相談してみます」
9年のキャリアで築いた人脈、本当に頼りになる。

第3章:データセンターを探せ 🏢
Eさん、交渉に立つ
サーバーを作っても、置く場所がなければ意味がない。
ここでもEさんが先陣を切ってくれた。
Eさん: 「データセンター、何社かピックアップしました。僕が直接やり取りしますね」
僕: 「お願いします…!」
Eさん: 「英語でもいいですけど、インドネシア語でやり取りしたほうが早いこともあるんで」
たしかに。現地の言葉で交渉できるのは大きなアドバンテージだ。

返事が来た
数日後、Eさんから報告があった。
Eさん: 「何社か返事来ました。それぞれ特徴ありますね」
僕: 「どんな感じ?」
Eさん: 「A社は大規模向けで、電力の融通が利きます。B社は中小規模向けで、サポートが手厚い。C社は日系なので、日本語で対応してくれます」
僕: 「日本語対応、ありがたいね」
Eさん: 「ただ、どこも『電力どのくらい使いますか?』って聞いてきますね。AIサーバーは電気食いますから、ここが一番のポイントです」

電力問題、ふたたび
僕: 「電力ってそんなに大事なの?」
Eさん: 「めちゃくちゃ大事です。普通のサーバーなら問題ないですけど、AIサーバーは桁が違うんで。対応できない施設もあります」
僕: 「なるほど…」
Eさん: 「あと、ジャカルタは電力の競争が激しいんですよ。最近データセンターが増えすぎて。少し郊外のほうが確保しやすいケースもあります」
僕: 「郊外って、たとえば?」
Eさん: 「バタム島とか。シンガポールの近くで、電力インフラが安定してるんです」
僕: 「へぇ、そんな選択肢もあるんだ」

現地視察、決定
何社かとやり取りを重ねた結果、候補が絞られてきた。
Eさん: 「やっぱり現地見たほうがいいですね。一緒に行きましょう」
僕: 「ボスに相談してみる」
僕: 「データセンターの視察に行きたいのですが」
ボス: 「いいね、行っておいで。現地を自分の目で見るのは大事だよ」
僕: 「ありがとうございます」
ボス: 「せっかくだから、視察の合間に美味しいものでも食べてリフレッシュしてきて」
僕: 「お気遣いありがとうございます!!」
こうして、データセンター視察が決まった。

第4章:チームで進める楽しさ 💭
見えてきたこと
プロジェクトを進める中で、いくつかの発見があった。
まず、インドネシアはAIインフラに本気だということ。
Eさん曰く、政府もデータセンター誘致に力を入れているし、大手IT企業の投資も活発らしい。「AI対応」を売りにする施設も増えているとのこと。
次に、人脈の大切さ。
パーツ調達で痛感した。正規代理店やショップに友人がいるEさんの存在がなければ、僕たちはまだ途方に暮れていただろう。9年かけて築いた信頼関係は、何物にも代えがたい財産だ。
意外と楽しい
大変なことばかり書いてきたが、実は楽しんでいる自分がいる。
インフラの世界を学び、知らない技術に触れ、チームで課題を乗り越えていく。
特に、Eさんとの協働は発見の連続だ。
Eさん: 「インドネシアでは、こういう場合はこうするんですよ」
僕: 「へぇ、知らなかった」
Eさん: 「でも日本のやり方も面白いですよね。お互いの良いところ取り入れましょう」
こういう会話ができるのは、MKDT Dmake Indonesiaというチームならではだと思う。
第5章:冒険は続く 🚀
現在地
この記事を書いている時点で、プロジェクトはまだ道半ばだ。
データセンターの候補は絞り込めてきた。パーツの調達は、Eさんの友人たちのサポートのおかげでなんとか進んでいる。ただ、在庫があってもすぐに無くなってしまう状況は変わらず、最後まで油断できない。
まだ実際に「立てた」わけではない。
これからデータセンター視察があり、最終決定があり、組み立てがあり、設置があり、動作確認があり…
先は長い。でも、このチームなら大丈夫だと思っている。
次回予告
このブログでは、引き続き「AIサーバー構築」の顛末をお届けしていく予定だ。
次回以降のネタ(予定):
📦 調達サバイバル編 — 「在庫確保できるか!?最後まで気が抜けない」
🔧 組み立て奮闘編 — 「いよいよ組み立て開始」
🎉 稼働開始編 — 「動いた!みんなで記念撮影」
ボスが与えてくれたこの挑戦の機会を、しっかり形にしていきたい。
そんな気持ちで、明日もチームでこのプロジェクトと向き合う。
おわりに
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
このプロジェクトを通じて実感しているのは、「信頼して任せてくれる環境と、頼れる仲間がいれば、未知の挑戦も乗り越えられる」 ということ。
挑戦の機会をくれたボス、そして正規代理店やショップの友人たちを巻き込みながら一緒に走ってくれるEさん。
このチームだからこそ、ここまで来られた。
新しいことに挑戦しようとしている方へ。周りの人への感謝を忘れずに、一歩ずつ進んでいきましょう。
それでは、また次回! 🙌
