AIへの投資を加速させるための「脱SaaS」戦略。組織急拡大を見据えた、エンジニア基盤のOSSリプレイスという選択

AI投資を加速させるための「脱SaaS」戦略。
組織急拡大を見据えた、エンジニア基盤のOSSリプレイスという選択

~Claudeへの集約を機に、コスト構造を抜本的に見直す~

1. 序論:Claude導入が突きつけた「コスト構造」の課題

現在、エンジニアリングの現場においてAIの活用は避けて通れない道となっています。弊社グループでも、開発効率を抜本的に向上させるため、最先端のAIモデルであるClaudeを全面的に導入することを決断しました。しかし、この「攻めの投資」は、同時にIT予算のポートフォリオに大きな変化を迫ることになりました。

高品質なAIライセンスの維持には、相応のコストがかかります。一方で、弊社は現在、インドネシアを中心としたグローバルな人材雇用を加速させています。ここで大きな壁となったのが、既存の主要なSaaSが採用している「ユーザー数課金(Per-User Billing)」というモデルでした。

組織が100人、500人、1,000人と拡大するにつれ、GitHubやSlack、Confluenceといったツールのライセンス料は、雪だるま式に膨らんでいきます。AIという最優先の投資先にリソースを集中させつつ、同時に組織の規模を拡大し続けるためには、この「人数に比例して増大する固定費」を抜本的に見直さなければなりません。このリアルな経営課題が、今回のOSSリプレイスプロジェクトの最大の動機です。

主要ツールの移行ロードマップ(Before / After)

カテゴリ 従来のSaaS (Before) ➡ 移行後のOSS (After) 選定の理由
ソースコード・タスク管理 GitHub / Jira Forgejo
(Codeberg e.V.主導の非営利体制)
・GitHub互換のUXで移行コストが低い
・リポジトリとIssueの統合によるIssueドリブンな開発体制
ナレッジ共有・Wiki Confluence XWiki ・商用製品に勝る詳細な権限管理
・大量雇用を見据えた大規模なアクセス制御に最適
コミュニケーション Slack / Mattermost Matrix (Element) ・非営利財団によるプロトコル標準化
・営利企業の買収等による方針変更リスクの回避
認証基盤 (IDP) Auth0 / Okta ZITADEL ユーザー数による課金増の回避
・OSSスタック全体を繋ぐセキュアなSSO基盤

2. 運用でコストを抑え、機能を最大化する

OSSへの移行は、単なる「安かろう悪かろう」への妥協ではありません。むしろ、自分たちの運用スキルによって、商用SaaSでは手が届かなかった領域までカスタマイズし、最適化できるメリットがあります。

■ XWikiが解決したガバナンスの壁

特にドキュメント管理においては、XWikiの柔軟な権限設計が大きな役割を果たしています。Confluenceに近い操作感を維持しつつ、ページやグループごとに極めて細かい閲覧・編集権限を設定できるため、インドネシアの大量雇用に伴う複雑なチーム編成にも、柔軟かつ迅速に対応できています。「商用製品だから安心」ではなく「自分たちで細かく制御できるから安心」というフェーズに移行したのです。

■ Forgejoによる開発文化の再構築

Forgejoの導入は、社内の開発文化にも良い影響を与えています。ライセンス料を気にすることなく、エンジニア以外の職種も巻き込んだプロジェクト運営が可能になりました。GitHub互換の操作感により、移行時の混乱もほぼなく、むしろリポジトリとIssue管理が直結したことで、完全なIssueドリブンな開発フローが自然と定着しています。

3. インドネシアチームが支える「自律型」インフラ

今回のリプレイスが成立する最大の鍵は、インドネシアの優秀なエンジニアチームの存在です。

SaaSベンダーに「管理の手間を外注」して高いライセンス料を払う代わりに、私たちはその予算を「自社のエンジニアの雇用と技術習得」に充てています。自分たちが使うForgejoやXWiki、ZITADELを、自社のエンジニアチームが自分たちで構築・運用・最適化する。このアプローチにより、組織が大きくなってもライセンス料の膨張に怯える必要がなくなりました。

これは、AI(Claude)という最先端かつ高コストなリソースを最大限に活用し続けるための、戦略的な決断です。周辺の固定費を「運用力」で削り、最も価値を生む場所に資金を投下する。このバランスの取れたコストスタックこそが、私たちの成長を支える基盤となります。

4. 高度なOSS運用を支えるグローバルリソース

今回ご紹介したような「OSSへの全面リプレイス」や「AI投資の最適化」を可能にしているのは、弊社グループが誇るインドネシアを中心とした優秀な海外人材チームです。

私たちは、自社インフラの構築・運用で培った知見を活かし、パートナー企業様向けにオフショア開発や、高度なITスキルを背景としたバックオフィスサポート(BPO)を展開しています。

■ 弊社グループが提供するグローバルソリューション

  • オフショア開発: 日本の品質基準とインドネシアの機動力を掛け合わせたシステム開発。
  • ITバックオフィス: 複雑なワークフローやデータの管理、OSS運用を含む高度な事務サポート。
  • コスト最適化コンサル: 組織拡大に伴うSaaSコストの見直しと、代替OSSの選定・導入支援。

人件費のメリットだけでなく、「自らツールを運用し、改善できる」技術力を持ったチームが、貴社のデジタルトランスフォーメーションを強力にバックアップします。

5. 展望:脱Microsoftを目指した「Linux VDI」への挑戦

私たちの「自律的なインフラ構築」への挑戦は、まだ終わりません。現在、次なるステップとして「脱Microsoft」を掲げ、デスクトップ環境の刷新に着手しています。

具体的には、OSライセンスの縛りから解放されるLinuxベースのVDI(仮想デスクトップ基盤)運用の検討を進めています。

  • ライセンスフリーな作業環境: Windows OSの更新やライセンス料に左右されない開発環境の構築。
  • セキュリティの集中管理: Linux VDIにより、グローバル拠点からのアクセスもセキュアかつ一元的に管理。

「OSすらも選定の対象にする」。この徹底した自律の精神こそが、1,000人規模のグローバル組織を支える最強のコスト構造と、止まらない成長を生み出す原動力となると確信しています。

技術選定は、組織の未来への投資。

特定のベンダーの課金体系に縛られず、自分たちの成長に合わせた最適なインフラを自分たちの手で構築する。ClaudeというAIの可能性を最大限に引き出すための、私たちの挑戦はまだ始まったばかりです。

特定のプラットフォームに依存しない、持続可能な未来へ。


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