広報の相棒にするなら?GeminiとChatGPTの使い方を実務視点で検証してみた

この記事はD-make Advent Calendar 2025の12/23の記事です。

はじめに

こんにちは。ディーメイクスタッフ、広報担当のhatoriです。

生成AIは、広報業務にも、強い味方だと日々感じています。
文章を考えたり、アイデア出しをしたり、ちょっとした確認に使ったり。
いつの間にか、仕事で手放せない存在になっていました。

ただその一方で、
「どの業務で、どのAIを使うのがいいんだろう?」と、気になっていました。
そこで、GeminiとChatGPTを使って比較検証をしてみることに。

今回は、架空のサービスを題材にして、
広報としてよくあるアウトプットを実際に生成しながら、それぞれのAIの“相棒”としての違いを見ていこうと思います。

※2025年12月15日時点での検証です。
※印象評価については主観が多分に入っていますことをご理解ください。

検証の前提(設定と比較観点)

今回の検証では、以下の架空サービスを前提にしています。

架空サービス概要

サービス名Dナレッジ(完全なる架空のサービスです)
サービス概要IT企業向けの社内ナレッジ検索AI
社内に散在する議事録、設計書、FAQ、チャットログなどを横断的に検索でき、エンジニア・非エンジニア問わず「知りたい情報にすぐ辿り着ける」ことを価値とする
ターゲット50〜300名規模のIT企業
情報が属人化し、引き継ぎや問い合わせ対応に課題を感じている
広報の目的サービスの価値をわかりやすく伝え、導入検討層に「自分たちの課題だ」と感じてもらうこと

それぞれの生成AIに上記のサービス概要をインプットします。

比較観点の整理

今回の比較は、以下の3つの観点で行いました。

  1. 広報戦略設計力(ロジカル性)
  2. コピーライティング力(クリエイティブ性)
  3. サービス紹介ストーリー構築力(表現力)

※すべて同じ前提・同じプロンプトで生成しています。

比較①:広報戦略設計力(ロジカル性)

使用したプロンプト

あなたはIT企業の広報担当です。
先ほどインプットしたサービスについて、広報観点でアウトプットを作成してください。
広報戦略の観点から「誰に・どんな課題を・どう解決するサービスなのか」を整理してください。

以下の3点を含めてください。

・想定ターゲット
・ターゲットが抱える課題
・Dナレッジが提供する価値

箇条書きで、簡潔かつ論理的にまとめてください。

Geminiの提案

1. 想定ターゲット

  • 規模: 50〜300名規模のIT企業
  • 組織的な課題:
    • 情報が属人化しており、特定の個人に依存している。
    • プロジェクトの引き継ぎや、社内問い合わせ対応に非効率さや遅延が発生している。
    • ナレッジが特定のツール(ファイルサーバー、Wiki、チャットなど)に分散し、必要な情報が見つけにくい。

2. ターゲットが抱える課題

  • 情報の「見つけられない」コスト: 必要な議事録、設計書、過去の対応履歴などが社内ツールに散在しているため、検索に時間がかかる、あるいは見つけることを諦めてしまう。
  • 属人化リスクと非効率な対応:
    • 技術的なノウハウが特定のエンジニアに集中し、退職や異動で情報が失われるリスクがある(属人化)。
    • 新任者や非エンジニアが、情報を見つけられず、経験者に何度も同じ問い合わせをしてしまい、対応者の業務を圧迫する。
  • 組織成長の阻害: 情報探索にかかる非生産的な時間が、本来注力すべき開発や顧客対応の時間を圧奪し、組織全体の生産性向上を妨げている。

3. Dナレッジが提供する価値

  • 【課題解決】知りたい情報への「瞬時なアクセス」:
    • 議事録、設計書、FAQ、チャットログなど、社内のあらゆるナレッジソースをAIが横断的に検索・解析し、必要な情報を瞬時に引き出します。
    • エンジニア、非エンジニアの区別なく、誰でも平易なキーワードで専門性の高い情報に辿り着けるようになります。
  • 【効果】業務効率と品質の向上:
    • 非効率な社内問い合わせを大幅に削減し、社員のコア業務への集中を促進します。
    • 過去のノウハウを容易に活用できるため、プロジェクトの引き継ぎがスムーズになり、アウトプットの品質が安定します。
  • 【将来性】ナレッジの「資産化」:
    • 散在していた社内情報が統合されたナレッジベースとなり、企業の知的資産として活用できる状態になります。これにより、属人化リスクを解消し、組織全体の知性を底上げします。

ChatGPTの提案

1. 想定ターゲット(Who)

  • 従業員 50〜300名規模のIT企業
  • 開発・運用・営業・バックオフィスなど、職種横断で情報共有が必要な組織
  • 特に以下の立場の人
    • 情報管理・業務改善に課題感を持つ マネージャー/情シス/リーダー層
    • 引き継ぎ・問い合わせ対応に追われる エンジニア・現場担当者

2. ターゲットが抱える課題(What problem)

  • 情報が ツールごとに分散(議事録、設計書、FAQ、Slack/Chat など)
  • 必要な情報が見つからず、「あの件、誰に聞けばいい?」「過去どうやったか分からない」 といった属人化が発生
  • 引き継ぎ・問い合わせ対応に時間が取られ、本来やるべき業務に集中できない
  • 新メンバーの立ち上がりが遅い
  • 「ドキュメントはあるはずなのに、使われていない」状態

3.Dナレッジが提供する価値(How)

  • 社内に散在する情報を 横断的に一括検索
  • 議事録・設計書・FAQ・チャットログをまとめて探せる
  • AIによって、探し方が分からなくても、自然な言葉で検索可能
  • エンジニア/非エンジニア問わず使える
  • 情報探索の時間を削減し、問い合わせ対応・引き継ぎコストを大幅に軽減
  • 個人の知識を 組織の資産 に変換
  • 結果として、「聞かなくても分かる組織」「人が変わっても回るチーム」 を実現する

Geminiの印象

  • ターゲット・課題・価値が網羅的かつ論理的
  • 抜けモレが少なく、説明として納得感がある
  • 説明資料寄りの整理

👉「全体像や価値を抜けモレなく整理するための相棒」

ChatGPTの印象

  • ターゲットや状況が具体的でイメージしやすい
  • 共感を生みやすい説明
  • 情報量は少なめだが、ポイントが整理されている

👉「具体的なPR施策を実行に落とし込む相棒」


比較②:コピーライティング力(クリエイティブ性)

使用したプロンプト

Dナレッジの価値が一目で伝わる キャッチコピーを3案作成してください。 

【条件】
・ITに詳しくない人でもイメージできること
・機能説明ではなく「得られる体験」が伝わること
・広報サイトのファーストビューを想定すること

Geminiの提案

キャッチコピー訴求ポイント(得られる体験)
1.「あれ、どこだっけ?」をゼロに。
必要な情報に、AIが最短1秒でご案内します。
誰もが日常的に抱える「情報が見つからないストレス」を解消し、情報探索の時間が一瞬で終わるという具体的な体験を表現しています。
2.ベテランのノウハウも、議事録の山も、
まるごと「あなたのポケットAI」に。
属人化していた情報や、埋もれていた文書が、いつでもどこでも使える、頼れるアシスタントに変わるという、パーソナルで手軽な体験を伝えます。
3.探し物ゼロ、問い合わせ半減。
チームの「ムダな時間」を、未来への投資に変える。
課題である「ムダな時間」の具体的な解決効果(探し物ゼロ、問い合わせ半減)を示し、その結果、組織全体の生産性が向上するという経営的な価値を訴求します。

ChatGPTの提案

キャッチコピー訴求ポイント
1.直感型(いちばん分かりやすい)「もう、“あの資料どこ?”で止まらない。」ITに詳しくなくても状況がすぐ浮かぶ

常の小さなストレスをピンポイントで言語化
ファーストビューで課題認識を一瞬で作れる
2.ベネフィット強調型(業務体験)「知りたいことに、聞かずにたどり着ける。」「検索=答えに近づける体験」を端的に表現
エンジニア・非エンジニア共通の価値が伝わる
属人化・問い合わせ削減をやわらかく示唆
3.組織視点・未来型(少しだけ上位概念)「人が変わっても、仕事は止まらない。」
ナレッジが“個人”から“組織”になる体験を表現
マネジメント層にも刺さる
成長企業・引き継ぎ課題と自然に結びつく


Geminiの印象

  • なぜその表現なのかの理由付けが論理的
  • 機能や価値がストレートに伝わる
  • 直感的というよりは説明的

👉「論理的に整理して、安心してまとめたい時の相棒」


ChatGPTの印象

  • 比喩や体験ベースの表現が多い
  • 表現が直感的で印象に残りやすい
  • はまれば刺さりやすいが、外すと意図が伝わらない可能性もある

👉「印象に残る表現で攻めたい時の相棒」

比較③:サービス紹介ストーリー構築力(表現力)

使用したプロンプト

Dナレッジを初めて知る読者向けに、 導入前の課題から導入後の変化までが伝わる サービス紹介ストーリーを200字以内で作成してください。

【条件】
・専門用語は極力使わない
・実際に働く人の視点を意識する
・「導入後の変化」が具体的に想像できること

Geminiの提案

「あの設計書、どこ?」と毎日探し回ったり、ベテランに質問ばかりで手が止まっていませんか?

Dナレッジは、議事録もチャットもファイルも、社内の情報全部をAIが整理します。もう、誰にも聞かずに、知りたいことにすぐ辿り着ける。

「探す時間」が「考える時間」に変わり、チーム全員が気持ちよく、仕事の質を高められます。

ChatGPTの提案

会議の内容は議事録、仕様は別の資料、過去のやりとりはチャットの奥。

「たしか前にもやったはず」と思いながら、誰かに聞く毎日でした。

Dナレッジを入れてからは、知りたいことをそのまま入力するだけ。

資料も会話もまとめて見つかり、探す時間がぐっと減りました。

聞く前に分かる、迷わず進める。

仕事のテンポが、確実に変わります。

Geminiの印象

  • 課題 → 解決 → 効果の流れがスムーズ
  • 情報として理解しやすい
  • ストーリーよりはサービスの価値説明に近い

👉「価値を正確に伝えたい時の相棒」

ChatGPTの印象

  • 働く人の視点が感じられる
  • 情景が浮かび、導入後の体験を想像しやすい
  • 若干ドラマ寄りだが、ストーリー性が高い

👉「読み手の共感を引き出したい時の相棒」


まとめ:広報担当にとっての“相棒”は?

今回の検証を通して感じたのは、「どちらが優れているか」とかではなく、
「どんな場面で、どちらを相棒にしたらより効果的か」という示唆が得られました。

個人的には、こんな使い分けがしっくり来ました
Gemini広報戦略
整理フェーズ
ChatGPTコピー
表現
アイデア出し

生成AIは、”正解”を出してくれる存在というより、一緒に考える心強い“相棒”だなと改めて感じました。
業務内容やフェーズに応じて、賢く使い分けていきたいものです。

さいごに(個人の感想)

AIが生成する文章は、誤字脱字もなくロジカルで、時にはストーリーさえ感じさせてくれます。
しかし、時にその「優秀すぎる完璧さ」に違和感を感じた経験がある方も多いのではないでしょうか。

だからこそ、それを使いこなす人間の「意志」や「意図」が大切なのではないかと感じています。

「どんな目的で、誰にどんなメッセージを届けたいのか」

明確な目的と意思を持った上で、生成AIを活用して表現を洗練させていく。
さらに微調整を重ね、人の手で空気感やニュアンスを加えたり、あえて外しの表現や不調和なトーンを入れてみる。
そして、ときには無難な表現ではなく、リスクを取り、「本音のメッセージ」を選ぶ。
それを行うためには、(今のところ)人間の力が必要なのかなと考えています。
そんな本質的な力を磨き続けていきたいと思っています。


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